走るゾンビに希望と絶望が入り混じる【ドーン・オブ・ザ・デッド】懐かしの映画レビュー(ネタバレあり)

懐かしのホラー(~2010年頃)

※画像引用元:ドーン・オブ・ザ・デッド : ポスター画像 – 映画.com

ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作のひとつ〝ゾンビ(78)〟をリメイクした映画です。

監督は今作で初長編監督をしたザック・スナイザー。〝300スリーハンドレッド(04)〟や〝ウォッチメン(09)〟に〝エンジェルウォー(11)〟など当時は彼の監督した映画をよく見ていました。

 

2004年公開
監督:ザック・スナイザー
出演:サラ・ポーリー/ビング・レイムス/ジェイク・ウェパー他

【ストーリー】

突然、現れた大量ゾンビに世界中がパニックに。
崩壊した世界でなんとか生き延びようとする人たちのお話。

【世界の崩壊】

ナースのアナは仕事を終えて自宅に戻り、夫のルイスと変わらぬ日常を過ごしていた。
翌朝、近所の女の子、ヴィヴィアンが突然夫に噛みつきそのままルイスはゾンビになる。
アナはパニックになりながらも、なんとか自動車で逃げ出し、途中で出会った黒人警察官のケネス、マイケル、アンドレと妊娠した妻・ルダとともにショッピングモールへ辿り着く。

【ショッピングモールでの仮初めの安らぎ】

ショッピングモールにはCJ、バート、テリーの3人がいた。
CJは自己中心的で嫌な存在。
「何か盗まれると困るから」などと言い、アナたちを監禁したりもするが他に逃げ場がないため、一緒に過ごすことに。

その後、トラックで逃げてきた他の生存者たちも加わり、CJ達の立場が逆転し、少しずつ大勢で生き延びる形ができてく。
ショッピングモールの地下駐車場にいた犬のチップスも仲間に加わります。

隣の建物にいた銃販売店のアンディーとは、ケネスがボードを使って会話をするようになり、声は届かないが心を通わせて友情を育んでいきます。

その他の生存者たちもショッピングモールの中で自由に過ごし、つかの間の安らぎの日々を過ごしていく。

【優しさが悲劇へ】

アナたちは生存者の一人であるスティーヴのクルーザーで安息の地を探すため港まで行くための改造車を造ることに。

狙撃の名手であるアンディーも一緒に連れていくために準備を始める。

しかし、その前にアンディーの食料がつきてしまい、彼に物資を届けるために犬のチップスに荷物を持たせ届ける作戦を思いつく。

ゾンビは人間にしか興味がない様子。

その作戦の途中に、ゾンビが紛れてしまいアンディーゾンビ化。
悲しみの中、大量ゾンビの群れに襲われたアナたちはそのまま改造車で逃げることを決意。

港へと目指すことになるが、外は地獄。
大量のゾンビに囲まれて車は揺れ、絶望しかない状況に陥る。
改造車の隙間からチェーンソーでゾンビの足を切りまくり、ガスボンベを投げ爆発させてゾンビを吹っ飛ばしたり必死で攻防します。

その時に、誤って仲間をチェーンソーで胸を切ってしまうシーンは本当にトラウマでした。

もうね、絶望しかないの。
ゾンビよりも、運の悪さと絶望の方がよっぽど怖いの。

【逃げるほど失われていく命と希望】

港に逃げると途中、最初は嫌な奴だったCJがみんなの囮になって死ぬ。

アナを守るため、噛まれてしまったマイケルは一緒に船に乗らず、自分の最期をそこで受け入れる。

守りたいのに守れない。
マイケルの切ないけれども、愛するアナが助かることだけを希望に微笑む表情に胸を打たれる。
綺麗な朝日と背後には大量のゾンビ、この絶望と希望が入り混じったシーンの演出が上手くて胸を熱くさせる。

命からがら脱出したアナたちが辿り着いた島は、実はゾンビだらけ。
希望はどこにもないと、突きつけられるような終わり方でした。

【感想】

〝ドーン・オブ・ザ・デッド〟は、ゾンビ映画だけれど人間の方がずっと怖いし、ずっと切ない。
自分だけ助かればいいという浅ましさとか、逆に誰かを助けようとして壊れていく姿とか、そういうのが全部むき出しになっていて、見てて胸が苦しくなる。

改造車がゾンビに囲まれてゆらゆら揺れるシーン、あれ本当に地獄。
空港でファンに取り囲まれる韓国のアイドルとか俳優を思い出す。
あれより、ひどい。

チェーンソーで足を切りまくるグロさより、揺れて仲間を誤って斬ってしまうあの瞬間の方が圧倒的にキツかった。

アンディーとケネスの、ビル越しのボードでのやり取りも好きだった。
声も届かない距離で、それでも繋がろうとする優しい時間。
物資を届けたいという善意が、結果的にアンディーを死へ追い込んでしまうという皮肉も切ない。
世界が終わるときに残るのは、こういう小さな友情なんだと思う。

アナが最初に出会う、黒人の青年アンドレと妊娠している妻ルダの話も辛い。

ルダがゾンビになってしまったことを誰にも言えず、最後には仲間と殺し合いになってしまう悲劇。
狂気にのまれ、誰にも理解されない愛。

この流れはホラーではなく、ただの人間の壊れ方で胸が痛かった。
生まれた赤ちゃんもゾンビで絶望。

そしてCJ!
最初は横暴で最悪な奴だったのに、最後には自分を犠牲にして仲間の逃げ道を作るとは。
一番人間らしい成長をする彼の変化は本当にグッときた!

最後の最後まで、希望がなかった映画だが、不思議と観たことに後悔はしない。

ゾンビ映画なのに、主役は人間。

当たり前かもしれないけど、ゾンビはあくまでもスパイスで真ん中にいるのは人間の欲深さ、自己中心性、そしてそれでも消えない小さな愛と希望。

走るゾンビは、ロメロのゾンビではないけれども、ゾンビが走るだけで怖さ100倍。
この恐怖は本当に絶望よね。
テンポもよくスピーディーで飽きません。

プロローグの歌の歌詞もとても印象的。

〝神が名前を書き留めている〟
〝罪人は見逃さない〟
〝自分は祝福されるのか墓場行きになるのか〟

作中、TVの番組でも、〝地獄行きの罪を犯した人々が地獄であふれたときに、ゾンビとして地上へ上がってくるのではないだろうか〟
的な感じで語っているコメンテーターがいました。
(なんと、彼はオリジナル〝ゾンビ〟で主役をしていたピーター役のケン・フォーリーなんです!他にも特殊メイクアップアーティストのトム・サヴィーニがインタビューされてる警官などで出演してたりホラー映画好きにはたまらん映画になっております。)

ものすごく宗教的で私たち日本人にはあまりピンとこないが、とても社会風刺的でロメロをリスペクトした素晴らしいリメイク映画になってるとわたしは思いました。

U-NEXTやNetflixでは、配信されてなくてTSUTAYAディスクでレンタルして久々に見ましたが当時の思いが蘇り楽しく見れました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました